インだったと思う︒ 鈴鹿では当時のレース仲間が待ち受けていてくれたが︑トラックから降ろしたパーツを見たみんなの反応は微妙だった︒FRPの裏側が表皮になったざらざらのハードトップは前縁のウインドスクリーンへの取り付け部も仕上がっていないし︑後端のトランクリッドへの接合面もトリミングされていないままだった︒ノーズコーンに至ってはどこがトリミングラインか解らないので適当に長く作ってあるために︑何のパーツかも解りにくいような不可解な格好をしていた︒ ﹁こんなに切羽詰まった時にこんな半端なものを持ってきてどういうつもりだ!﹂というのがみんなの正直な気持ちだったろうが︑これを見た浮谷が︑﹁おー︑間に合ったか! こりゃすごいや︒さあ取り付けようぜ﹂とまるで屈託なく喜んで見せたので︑たちまち雰囲気が変化して何とか間に合わせようという機運が盛り上がってきた︒ ただし時間は数時間しかない︒取り付け位置の線出しをしてカットして取り付けるという段取りだが︑もともと現合が前提だから︑当然︑端面は切りっぱなしで取り付けるための対処は122
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