これは︑それまで事あるごとに︑軽量化と空力を改善すればS600でもGTで勝てると言い続けてきたのを聞いていた浮谷が︑GT■1 に出場したいために思いついた作戦だった︒ 浮谷と徹ちゃんは︑このレースで共謀して二人で全4クラス制覇をしようと厚かましいことを企んでいたが︑すでに徹ちゃんはホンダ研究所チューンのS600でGT■1 にエントリーすることが決まっていたために︑浮谷は自分のS600でT■1 にはエントリーできない︒どうしてもGT■1 に出場できる車を探さないといけない状況だったが︑どこを探しても出場して勝てるような車が手配できない︒そこで浮谷が思い出したのが私の提案というわけだが︑当時のレギュレーションでは︑S600はそのままでT■■1にもGT■1 にも出場できたから︑浮谷がレギュレーション上の問題で改造しようとしたのではなく︑勝ちを確実にしたいという気持ちが強かったのだと思っている︒ というのも︑このレースにはワークス系のS600がエントリーしており︑ノーマルの浮谷のS600よりはかなり高度なチューンが施されているから︑まともに戦うと勝ち目がないといわれていたからだ︒108
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