7021年間も夫婦だった洋子氏が牙を剥き出してきていることも、あの半世紀も仲良く付き合ってきた塚本能交氏が自社の弁護士を投入してまで洋子氏を後押ししていることも、親しく付き合ってきた塚本一族の全てが口を閉ざしていることも、潮が引くように友達が去っていったことも、世間では私が洋子氏の資産を奪いに行っているように噂されていることも、全てが信じがたい悪夢のような出来事だったが、しかし現実、「童夢カーボン・マジック」は人手に渡り、米原の土地と株の売却益は奪われ、童夢発祥の地も押さえられ、息子とは会えなくなり、友達は消え去り、帰る場所はワンルーム・マンションだけしかなかったし、「童夢と林みのるの最後の夢」は破綻していたから、どう考えても夢ではなかった。第18章 洋子氏の主張を全否定する岡本証言ちょっと先の話だが、とても重要事項なので前もって書いておこう。「童夢と林みのるの最後の夢」が破綻に追い込まれた私は怒り狂っていたから次に訴訟提起に向かうが、その訴訟提起を委任していたN弁護士から岡本先生の証言が必要と言われたものの、岡本先生の仲介が空回りに終わった後は、ちょっと気まずい雰囲気になったまま疎遠になっていたから躊躇が先に立った。しかし、どうしても必要ということだったので、ほぼ10ヶ月ぶりに電話をしたところ、「裁判するのか?」と驚いた様子だったが、まるで昨夜、一緒に飲んでいたような、長いブランクを意識させない対応ぶりだったし「私も気になっていたので行く」と、後日、N弁護士の事務所に来てくれた。そこで、古賀弁護士との交渉の記録を見てもらったが、まだ実態を充分に把握できていなかったのだろう、さかんに「洋子ちゃんがこんなことを言うわけがない。竹村弁護士に操られているだけだ。」と、信じられない様子だった。客観的な判断をしてほしかったので私は参加せず、日を改めてN弁護士の事務所に来てもらい、マンツーマンでN弁護士の質問に答える形で事実を証言してもらった。岡本先生は今回の事件に深く関わってきた、というよりも、私や洋子氏よりも内容には精通している人であり、洋子氏とのタッグで全ての出発点となっている塚本家の相続対策を仕切ってきた人だから、この超重要参考人の証言は心強かったし、これで解決に向かうと安堵したものだ。ところが裁判所は、有り得ないことに、この洋子氏の主張を全て否定する岡本先生の証言を完全に無視してしまった。
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