52第21章 離婚が現実的に返事のない返事には答えようもないので諦めざるを得なかった私は、9月17日になって、初めて「離婚」という文字の入った書類を洋子氏に送った。その「手続きもろもろ」という書類は、離婚に向けての諸般の手続きを相談する内容だったが、全てが相談する内容であり、確定的なことは何も書かれていなかったから、これも、意味合いから言えば、洋子氏からの話し合いのサインを求める誘い水でしかなかった。ところで、離婚といえば、必ず、どちらが悪いとか原因とか説明を求められるが、几帳面な私は恋愛時代からの洋子氏との手紙のやり取りを全て保管しているから、それを読めば、おおむねの流れは解るものの、本事件は、私と洋子氏のどちらに原因があったとしても、それによって私の資産が洋子氏のものになるという話にはなり得ないので、ここで、その内容を細かく暴き立ててどちらが悪いとジャッジしたところで意味はないから、割愛する。いずれにしても、そこに、暴力とか浮気とか貧乏とか、普通の離婚に有りがちな原因は皆無だ。第22章 10月6日の宣戦布告「手続きもろもろ」を出してしばらく経った2012年10月6日、翌日、東京で催される、かねてより可愛がっていた能交氏の奥さんの姪っ子の結婚式に出席するために、まだ下鴨の家に置いてあった礼服を取りに行ったときに洋子氏から渡された手紙には、恐るべき内容が記されていた。(要約)離婚を了承する。親戚でなくなるのだから、明日の結婚式には出席不要。岡本先生に頼まず、弁護士を入れる。麻雀の勝ち分を渡しておく。岡本先生を排除して弁護士を入れるという話は有り得なかったし、姪っ子の結婚式への出席拒否や麻雀の清算は絶縁を意味していたし、それらは明らかに能交氏の指示によるものだったから、あまりに唐突な展開に理解が追い付かなかった私は「何で?」と洋子氏に問い詰めたが、洋子氏は首を振るだけで何も答えなかった。
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