37第3部 結婚から離婚まで第7章 そもそも名義株とはこれから始まる大事件における争点は、私の資産であった童夢関連株の一部の名義を洋子氏の名義に変えていたのが贈与であるか名義株であるかに尽きるから、ここで基本的な話をしておきたいが、現実問題として、妻に相続対策以外の目的で非上場企業の株を名義変更することに全く意味がないから、本来は争点にもなり得ない話だ。ご存じない方に、そもそも名義株とは何であるかを説明しておこう。1990年以前の商法では会社設立には最低7人の株主が必要となっていたが、適当な該当者がいない場合、家族や友達の名義を借りることが多かった。ところが会社が成功して大きくなると名義人が所有権を主張してくる事例が相次いだために、判例では実際の資金の出捐者(お金を出した人)が真の所有者と判断されるようになっていった。現在は1人株主が認められているので争いは少なくなっているが、代わりに相続対策として利用されることが多くなっている。大別して2つのケースがある。株の所有者が生存中に、あらかじめ相続人(妻か子供)の名義に変えておいて自身の死亡後に残された家族に負担がかからないように配慮するケース(林家の場合)と、株の所有者である親から相続する場合、事前に、信頼できる第三者の名義を借りて名義株を作り、親の死亡後に相続すべき家族に返してもらうことで相続税を回避する私利私欲によるケース(塚本家の場合)だが、その方法にもピンからキリまであり、実際に株を売買して名義変更する人(林家の場合)もいれば、小口に分けて贈与したことにして書類上で処理する人(塚本家の場合)もいる。ちなみに私の場合は、洋子氏が買った形を取っているが、その購入資金は全て私が支払っているから「実際の資金の出捐者」は私であり、実質的には洋子氏は何も負担していない。私のケースにおいても、策を弄して相続税を節税している部分に関しては褒められたものではないが、その志と順法性において似て非なるものと言わせていただきたい。判例を見てみよう。「他人の承諾を得てその名義を用い株式を引受けた場合においては、名義人すなわち名義貸与者ではなく、実質上の引受人すなわち名義借用者がその株主となるものと解するのが相当である(最高裁第二小法廷、1967年11月17日)」。つまり、株式の名義者であっても株主である権利を得ることができないとされている。<株の贈与と名義株は似て非なるもの>前述したように、妻に相続対策以外の目的で非上場企業の株の名義を変更することには、全く意味がない。
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