33第3部 結婚から離婚まで土台、選択肢はなかった。それにしても、私が自分たちの財産に手を付けるのではないかと心配していた塚本幸一氏も、まさか、自分の娘が夫の財産の収奪に走るとは夢にも思っていなかっただろう。第2章 独立採算家庭しかし、この塚本幸一氏の前で交わさせられた誓約は、いたく私のプライドを傷つけていたし、それからも強くこだわり続けていた。加えて、洋子氏が父母の経営する会社の運営を続けるとも言われており、つまり、お互いがお互いの費用を負担するという独立採算制が前提の結婚だったから、それ以来、私は頑なに割り勘を押し通してきた。ところが、結婚直後の洋子氏からの手紙には、早くもお金についての不満が述べられており、いわく「スーパーの買い物や法事のお菓子など、全て私が払っていて不公平」という不満だった。しかし、当初は私の持ち家に嫁入りしてきたから、住居費や光熱費や固定資産税や修繕費やお手伝いさんの給与や家具や電気製品などの購入は継続して私が負担しており、その負担は文句を言われる筋合いどころではなかったが、洋子氏は日々の家計費だけの割り勘をイメージしていたのだろうか、スタートからお金についての不満が出てきていた。これは、一戸の住居を構えるという大きな負担を考えずに、スーパーの買い物の出費に不満を募らせるという、お嬢さんならではの勘違いとは片付けられない、将来のお金にまつわる大事件の萌芽だったのかもしれない。第3章 洋子氏らが13億円の相続税を徴収される何といっても、この事件の出発点はここにあるから、ここを少し詳しく説明しておく必要があるだろう。結婚して6年後の1998年に塚本幸一氏が逝去されたが、相続対策のスタートが手遅れだったので52億円の相続財産のうち、洋子氏を含む3人の子息たちが相続する24億4,000万円の相続に対して、実に13億3,000万円の相続税を徴収された。通常、企業の創業家の資産は自社株が多くを占めるし、自社株を簡単には処分できないので、資産家といえども高額の現金を作ることは容易ではないから、洋子氏たち子息に13億円の納税が重くのしかかっていた。
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