ブラジャーVSレーシングカー 2
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27第2部 「童夢と林みのるの最後の夢」(山口正己特別寄稿)第11章 事件の勃発本書の主題である「事件」は、林氏が自らの資産の売却を言い出した2012年あたりから顕在化しており、童夢カーボン・マジックの東レへの譲渡は2013年だから、タイミングとしては、このあたりの出来事だが、事件については林氏が詳しく解説しているので、ここでは割愛する。第12章 童夢の継承問題このように、しっかりとした経営の3本柱の準備を進めていた林氏に誤算があったとすれば、童夢の発展成長が自らの才覚によるところが大きいことを自覚していなかったのか、収入さえ確保しておけば「誰でも運営していける」という油断だったのではないだろうか。林氏いわくは「運が尽きた」という事らしいが、私から見るに、優良な子会社を東レに譲渡してまで実現しようとしていた「童夢と林みのるの最後の夢」が、妻(当時)の洋子氏の裏切りともいえる資産の収奪により破綻してしまったことから、かなり自暴自棄になっていたのではないかと思っている。実際、この「事件」をきっかけに、全ての判断を間違い全てが裏目に出て全てが破綻していくことになるが、全てが林氏の判断ミスではなく、そこに、不可抗力の不幸が重なっていくのだから、あながち「運が尽きた」は間違いではないだろう。既に「童夢と林みのるの最後の夢」が破綻していたところに、3年で終わるはずのトヨタのLMP1によるル・マン挑戦が、最終年の2014年のレースにおいて3位に甘んじたおかげで、豊田章男社長の「これじゃ止められないよね」と言う鶴の一声で延長となり、もう1本の柱であるトヨタのLMP2ル・マンカー開発プロジェクトまで凍結されてしまったのだ。既に9人のトップクラスの技術者を移籍させていたから、これは痛かった。さらに、譲渡後の童夢社長である高橋氏が台湾のカーボン会社のKCMGと意気投合してタイアップを決めてしまったおかげで東レとはライバル関係になってしまったから、設計を担当するという最後の1本の柱まで失ってしまうことになったのだ。このKCMGに関して林氏は全く関与していないが、不幸は重なるもので、その後、KCMGと童夢との関係は破綻している。

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