20第2章 林氏だけが日本の自動車レースの発展振興を説いていたその中で、林氏だけが日本の自動車レースの発展振興の必要性を説き続けて来た。林氏の思いを一言で伝えるのは難しいが、要約すれば、現在の自動車メーカーから与えられている例年決まった予算の中でやりくりしていては、日本の自動車レースの規模は絶対に変わらないのだから、現在、輸入に頼っているレーシングカーや自動車メーカーが海外に丸投げしているレース予算を国内に回して、レース界に流れる資金の量を多くして、レース界の経済基盤を大きくしなければならない。そのためには日本のレーシングカー開発技術を向上させなくてはならないという理屈だ。また、日本の自動車レースはフランスに本拠を置くFIAの傘下にあるJAFによって統括されているから、FIAの決めるルールによってレースは運営されている。しかし、このルールは頻繁に改訂され、そのたびに新しいレーシングカーを買わなくてはならなくなるが、これは、ヨーロッパのレース産業が潤うための産業構造であり仕組みであり、レーシングカーを輸入に頼る日本のレース界は、単なるヨーロッパのカモとなっている。カモにならないためには、日本もレーシングカーを製造して、この産業構造の輪に加わるか、または、アメリカのように独自のルールでレースをするしかないが、今はタダのカモだ。林氏が日本の自動車レースの致命的な欠陥に気付いて改善の必要性を説きだしたのは20年も前になるだろうか。F3000に参戦していた頃に参加チームの利益を確立するために「日本F3000レースチーム協会(JFRA)」を設立したのを始めとし、2008年には日本の自動車レース産業の発展を願って「日本自動車レース工業会(JMIA)」を設立するなど、何回も何回も 日本の自動車レースの発展振興を願って行動を起こしているが、その林氏の提言を無視してきた日本のレース界はといえば、結果的に、2022年の現在も、日本のトップレースである「スーパー・フォーミュラ」はイタリア製のレーシングカーを使っているし、F3も外国製だ。「スーパーGT」のGT500はドイツのDTMというシリーズのパーツを使っているし、GT300はほとんどが輸入車であり、毎年、それらの莫大な購入資金は海外に流出して二度と返ってはこない。F1においてもシャシーの開発技術を持たないから、エンジン・サプライヤーとして首を突っ込むのが精一杯だ。その上、その資金で海外のレーシングカー・コンストラクターは、ますます技術力と産業力を高めているから、つまり、日本とヨーロッパを中心とする技術的な格差は広まる一方だ。林氏の違うところは、批判するだけではなく、そのために、何をしなくてはならないかを具体的に示し、自ら「日本自動車レース工業会」を創立して会長となり、先頭に立ってレースの発
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