197第20部 地獄は続く強く、「絶対に世話をかけないから」と、日夜、責められている間に、30歳差の睦美は私よりも40年以上は生きるだろうから、その間、ずっと独りではかわいそうと思うようになり、ついには折れた。これも、合理的な考えと言われれば返す言葉もないが、睦美が子供を産めば、洋子氏との子供への遺留分が減るという計算があったことは否定しない。精子を冷凍保存しての妊活が始まったが、失敗を重ねて2年以上が過ぎた頃、やっと長男の「木林」を授かった。私にとってはうれしくもない子育てが始まったが、話はこれだけでは終わらなかった。どうしても、もう一人、それも女の子が欲しかった睦美は、マジックを使ってもう一人の「詩」を生んだ。まあ、詳しくは言えないが騙されたようなものだった。その結果がどうなったかと言えば、当然のように、98%の愛情は子供たちに向かい、お風呂は私の担当となり、頻繁に食事の用意もしなくてはならなくなり、日曜日にはお出かけをせがまれるという、若い父親が経験するのと同じような育メン状態に陥り、南ヨーロッパグルメ旅は幻となり、おしゃれな自宅には原色のおもちゃが散乱し、庭に面するテラスにはペダルカーや三輪車が並び、階段や床の間や窓枠などのあらゆる平面部に物が積まれ、エレベーターの中まで物置になっていった。私が愚痴をこぼしても、たいていの人には「でも子供は可愛いでしょう」で済まされるが、これを書いている時点で私78歳、子供が3歳と5歳(2023年現在)という状況は、あと何年かの寿命を子供たちの相手にすり減らされ、その上、成長した姿を見ることもかなわず、インテリアはチェックインしたてのホテルの部屋が理想という私にとってはゴミ屋敷同然の環境に耐えるだけの日々は、かなり地獄に近いと言える。これで、洋子氏による資産の収奪により輝ける老後の夢を奪われ、U女史の童夢支配に希望を失い(拙著[童夢から]にて詳しく解説している)、睦美による育メン強要にスイートホームは強制労働施設と化し、引退後に大輪の花を咲かせるはずだった私の老後は、3人の女性によって完全に打ち砕かれてしまい、私の社会的活動の封殺は完ぺきとなった。さすがの私も、この3人の女性に、叩きのめされ、放り出され、骨抜きにされて、社会の片隅に埋没していくのだから、今更ながら女性の怖さを思い知らされたものだ。あまりの不幸の連続に、ふと思うのは、やはり、若い時からの女性たちの怨念が溜まりに溜まって私の周りを埋め尽くしているからだろうか? しかし、そうだとしたら私の不幸の連鎖はこんな程度では収まらないだろうから、心配だ。
元のページ ../index.html#223