ブラジャーVSレーシングカー 2
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142いうスタンスで、まるで出会いがしらの交通事故の示談のノリでしたから、私は、「まず貴女の妹が何をしでかしているのかを把握してから、再度、意見を聞かせてくれ」と言って、ほぼ校了しつつあった「信じる者は掬われる-digest-」の原稿を手渡しました。その後、「目が悪くて16ページしか読めなかった」と連絡がありましたが、それからも頻繁に連絡があり、やはり半世紀の付き合いは伊達ではなく、いつしか打ち解けた話もするようになっていました。再度の義姉からの誘いに応じて、5月10日、3回目の会食の席にいましたが、仕込まれていたのでしょう、途中から友人のTが合流し、二次会のバーには、突然、洋子氏が現れ、実に4年ぶりの再会となりました。洋子氏の第一声が「ごめんなさい」でしたし、続いて「兄が激怒しているから、先週、竹村弁護士を解任した」との話から始まり、義姉が「弁護士もどけたんだから、もう二人で話をしたら?」という流れになりました。また、義姉が私の財布からカードを取りだして洋子氏に渡し「あんたも、この口座に振り込んで、お金を返しなさい」と言い、洋子氏が「はい」と言うようなパフォーマンスも繰り広げられました。その後、義姉からは「こちらも弁護士を解任したのだから、林さんも裁判を取り下げて」という話になりましたが、弁護士はいつでも復帰できますが、裁判は、一度、取り下げたら再訴訟できなくなりますから、普通に考えて同列で成立し得ない取引でした。正直、ここでも私は甘かったと思いますが、今までの洋子氏の所業から鑑みるに、このくらいのことで浮かれていられるほど状況は甘くはないと判断すべきなのに、何といっても、塚本一族とは半世紀に余る付き合いでしたし、洋子氏とは21年間も夫婦でしたから、理性よりも雰囲気に呑まれていたのでしょう、「直ちに妥協的な和解案を出すから、和解できたら直ちに裁判は取り下げる」ことを約束しました。酒も入っていましたし、長らく家族として親しく付き合ってきた洋子氏や義姉との再会に私の理性も泥酔していたのか、みんなで解決を祝い乾杯し、私は勢いで洋子氏をハグしたことを覚えています。このあたりの経緯は、当事者以外にも友人のTやバーの女将も見ていましたから私の一方的な思い込みではないことは解っていただけると思いますが、私は、久しぶりに浮かれた気分で家路につきました。しかし、長きにわたって激突してきた洋子氏と私が急に胸襟を開いて話をすることは難しいので、内容については自ら考えるにしても代理人を立てようと提案し、私のほうは事情を熟知する古賀弁護士を指名したら、翌日、洋子氏はH弁護士(後で分かりますが竹村弁護士の傀儡でした)を指名してきました。数日前に竹村弁護士を解任したはずなのに、素早く登場した後任弁護士に違和感を覚えたものですが、解決を急ぐために、か

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