126第2章 何でもかんでも「してあげた」洋子氏は裁判において、「童夢がタイに進出するにあたり、義兄の会社の助力を受け、現地の有力者を紹介するなど協力している。感謝こそされても根拠なき請求をされる覚えはありません」と主張しているが、まあ、当時は親戚だったんだから、恩を着せ合うよりも、お互いに協力し合うのが真っ当な気がするし、「協力している」からといって夫の資産を収奪しても良いわけもないのだから、これも、印象操作を目的とした悪口に過ぎない。いずれにしろ、どこから見ても、助けるとか助けられるというよりも、単なるビジネスの話だ。私が、「DOME COMPOSITES THAILAND(DCT)」の設立を計画している時に、準備段階として、数人で作業できる小さな工場を探していたから、塚本家を通じて、以前より面識のあったタイの有力者の所有する工業団地に、該当するような賃貸物件がないかを問い合せていた。つまり、工場を貸すことを生業にしている人に工場を借りる話をしたわけであり、自動車ディラーに車を買ってあげようと言っているのと変わりないと思うが、それが、どうしたら「助力を受け」「協力し」「感謝されてしかるべき」ような恩着せがましい話になるのか? その上、私は試験的に小規模なスタートを目論んでいたのに、義兄の塚本能交氏と現地の有力者から電話があり「前途有望だから出資したい、もっと大規模にやろう」と言われ大変に荷の重いスタートとなったし、その後、軌道に乗るまでの多大な費用負担は全て童夢が負っていた。私は、東レ製のカーボン素材(プリプレブ)をタイまで冷凍輸送して製品化して、また日本まで輸送する仕組みがビジネスとして成り立つのか未知数だったから試験的に小規模なスタートを計画していたが、塚本能交氏と現地の有力者から見込まれて出資までしたいと言われたことが嬉しかったのだろう、今まで、一切の外部資本の導入を拒んできた私が、初めて現地の有力者の出資を認めたほどだ。確かに、当初、右も左も分からないタイに進出した当時は、現地の有力者の社員の方などに大変にお世話になったが、童夢も予定外の負担を抱え込んでいたから、その辺りは持ちつ持たれつだと思っていたのに、今になって、私の資産を収奪しても良い理由に使われるとは夢にも思っていなかった。そして、その後に、この会社(DCT)を東レに譲渡することになった時に、この現地の有力者には持ち株を有利に売却するか保有するかの選択肢があったが、保有することを選び、東レはその現地の有力者の商業地域に広大な工場を建設し、2018年現在、従業員250人を擁する大企業に成長している。現地の有力者には、今後、恒久的に地代や電力費が入ってくるから、とんでもなく大きなメリットを得ており、「感謝されるべき」は私のほうであり、本末転倒の言いがかりだ。
元のページ ../index.html#152