COLUMN / ESSAY / LETTER

Jan.01 2018 HAPPY NEW YEAR

昨年の重大ニュースと言えば、何といっても睦美がひい孫のような男の子を出産したことですが、これにより、私のバラ色の老後は急激に色褪せて、育児に苦労→成長→おしゃべりを初めて一番かわいい時期を迎える→その頃、私は居ない、という最悪のシナリオが見えてきました。
出産直後は、夜中に何回も泣き出してミルクを与えないといけないので私も手伝っていましたが、その後、寝られないので、睦美に別の部屋で寝てくれと頼んでも、「みのるさんの横にいないと何かの時に助けられないから」と横で寝てくれていますから、つまり、3人で寝ています。
という事は、夜中に何回も起こされる訳ですが、昨年の3月に心筋梗塞を発症し、突然、意識不明に陥ったものの、たまたま、睦美が横にいた時だったので直ちに救急車を呼んでくれたので助かりましたから、文句も言えませんし、安心なのも事実です。
2ヶ月を過ぎた現在は、睦美は何回か起こされているようですが、私は慣れてきて熟睡するようになってきています。

一方、能力的に創造性を求められる仕事が出来なくなったので隠居したのだから、もう私に出来ることは何も無いので、今はしがないマンション屋さんです。
東大阪の近大前に一棟を買って、兵庫県の朝霧に2棟のマンションを建てて家賃収入で暮らしていかなくてはなりませんが、こんなしがないマンション屋さんのところに、なんだかんだと来客もイベントも多く、なんだかんだと接待交際費も嵩むのに、税理士からは、マンション屋では経費で落とせないと個人負担を強いられていますから、このままでは暮らしていけません。
童夢を経営していた頃は、ルマンの予算が足りないからと私が三食をインスタントラーメンで済ませても大勢には何の効果もありませんし、それは、小川の水を手酌で飲むような感覚でしたから水位の差は分りませんでしたが、今は、バケツの水を飲んでいるようなもので、飲むごとに減っていくのが分かりますから、ついつい、抑え気味になるものの、長年の習慣が抜け切れず、時々、バケツの底が抜けてしまいます。

昨年末、童夢の忘年会に参加しましたが、社長の高橋君がスピーチで収益改善に努力していることをアピールしていたので、私も「私が居ないだけで童夢は年間1億円以上の収益改善になっているのだから、私も陰ながら協力している」とアピールしておきました。実際には、もっと大きな金額になっていたと思います。
それにしても、高橋君のビジネスセンスというか経営者としての能力は高く評価しています、と言っても、私はビジネスの何たるかも知らないし、あまりにも私とは思考回路が異なるから本当は評価のしようもありませんが、私の勘として、高橋君が10年前に私の片腕として童夢の経営に協力していてくれたら、今の童夢は大化けしていただろうと思われて残念です。
佐々木や鮒子田などの片腕は、本当に自動車レースが大好きな連中だったし一緒に楽しんだ部分もありますが、結果的には、童夢の金を遣って散財していただけでしたから、浪費という点では私と同じ穴の狢でした。
ただ、まともなビジネスセンスと狂気じみたレース好きのどちらが童夢の将来を輝かせるかは私には分かりません。

それにしても、家庭は平和そのものです。育児を手伝い、言われるままに家事も手伝い、赤ちゃんが居るから自宅での食事が多くなり料理も私の担当です。睦美が早寝だから、時々、つられて10時ごろからベッドに入ったりします。
睦美にとっては、それが当たり前の日常となっていますが、私は心の中で、「俺は昔は、毎晩、朝まで飲んでいたし、家で食事をすることなんか年に数回も無かったし、月一のペースで海外にも行っていたし、毎日、幾多の女性からのお誘いをさばきながら生きてきた男だ!」と叫んでいますが、「じゃ、どうぞ」と言われても、もう朝まで飲めないし、食事に出かけるのも面倒だし、旅行もおっくうだし、女性からのお誘い自体が絶滅しているし、誘われたところで目的を失っているし、過去の栄光と凋落した現実のギャップの中での葛藤が続いています。
しかし、この、睦美の居る我が家の住み心地には何の不満もありませんし、私の人生で、これほど居心地の良い環境は初めてと言えますから、今の私は、凋落状態を安穏と過ごすことを幸せと思うようになっていますし、それが日常になりつつあります。

しかし、しがない隠居老人のささやかな幸せをかみしめながらも、一方、元嫁との戦いは続いていますから、今年は、そろそろ決着を付けるように核兵器を準備しています。
ひよっとしたら、この元嫁との戦いが、この私のあまりにも安穏とした平和すぎる日常に刺激を与え、生きる活力の源になっているのかもしれないと思える今日この頃です。

では、皆様におかれましても、元気な老後をお過ごしいただくか、コロッと死んでしまうか、楽ちんな余生をお楽しみ頂けるように祈念しています。

林みのる