COLUMN / ESSAY

「iPadほしい~!ってか?」 -社会評論-

最近、ちょっと胸ぐるしい感じやどきどき感を覚えるので検査に行ったら、「心臓が肥大傾向にある」と言われて精密検査を受けることになった。医者によると「火急の対応を要する状態では無いであろう」という事だが、それにしては自覚症状が気になる。
そんなこんなのこの頃、新聞を読んだりテレビを観ていると急にこれらの症状が顕著になることが多いのに気が付いたのだが、その、私の心臓に負担をかけているニュースソースというのは、現政権の体たらくはもちろんとしても、「トヨタがテスラ社に45億円出資」と「iPadに長蛇の列」という類のニュースだ。
加えて、「日本人宇宙飛行士の活躍」もむかつくし、これはちょっと違う意味で「大学生の作った人工衛星3基行方不明」も腹だたしい。
次世代の電気自動車に関しては、世界で最も先進的でなくてはならない日本の自動車メーカーが外国の技術に投資する、それも、昨日今日出てきたベン チャーに45億円も差し上げるという記事を眼にした時は、頭がくらくらするほど不愉快な気分に陥ったし、iPadを買うために並んでいる若者たちを見る と、ギブミーチョコレート(言っておくが、私の子供のころにはもう貰えなかった。あんまり変わりはないけれど)のように情けないというか屈辱的な気持ちになる。テレビでとうとうとiPadの素晴らしさを説明するアナウンサー達に、これを日本人では無くアメリカ人が開発したという悔恨の気持はみじんも無く、前夜から並んでいる若者たちも、ただただiPadの先進的な機能に陶酔しているだけで、先を越された悔しさは全く伝わってこない。
日本人宇宙飛行士に関しては「GAZOO」のコラムにも書いたが、大金を払ってアメリカ製のスペースシャトルに乗せてもらっているに過ぎない現実を情けなく思うし、資源も土地も乏しい我が国が、唯一、世界に対して優位性を保てる資質があるとすれば、それは技術力でしかあり得ないと思っている私にとって、これらの現実はあまりにも空しい風景に映る。

こういう「無念」の思いを日本国民が共有しない限り、どんどん世界から取り残されていって、自動車も電子機器も原発も新幹線も飛行機も医療も医療機器も食料も繊維も何もかもが競争力を失い、またもや、猿まね日本に逆戻りとなるだろう。日本製「iPed」が現れるのも遠い話では無い。

林 みのる